
一人親方の労災保険は安い方がいい?加入団体の選び方を解説
公開日 / 2022.6.24

労災保険への加入を考えている方の中には、費用がいくらかかるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
労災保険に加入すると、労災保険料と組合費の二つの費用が毎月発生します。
労災保険は国の制度なので、給付基礎日額が同じであれば、どこの特別加入団体であっても労災保険料は変わりません。一方組合費は、特別加入団体によって千差万別です。
また、労災保険にかかる費用は、安ければいいというわけではありません。安さの裏で、サービスの質が犠牲になっている可能性があります。また、費用面以外でも加入前には確認すべきポイントがあります。
本記事では、労災保険加入でかかる費用と、特別加入団体を選ぶ際の注意点について解説します。
一人親方が労災保険に入る際にかかる費用
一人親方が労災保険に入る際にかかる費用は、労災保険料と組合費とその他手続き費用の3種類です。それぞれどのような費用なのか、詳しく解説していきます。
①労災保険料
労災保険料は、国に対して支払う保険料のことです。金額は法律に基づいて決められています。
給付基礎日額が同じであれば、どの特別加入団体を通じて加入したとしても、労災保険料は変わりません。給付基礎日額(保険料や保険給付を決める際に基準にする金額)に比例して、労災保険料も高くなる仕組みです。
②組合費
組合費は、特別加入団体に対して支払うものです。特別加入団体の運営・維持のために必要な費用と考えましょう。具体的な金額は、特別加入団体によって異なります。
なお、一人親方が労災保険に入る際の費用については、以下のページで詳しく解説しています。
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一人親方労災保険へ入る際にかかる金額は?費用の目安についても紹介
③その他手続き費用
その他手続き費用として、別途、下記の手数料や費用がかかってくる場合があります。
- 更新手続き時の更新手数料
- 労災事故の際の手続き費用
- 退会時の脱退手続き費用
- 組合員証再発行手数料
組合によって無料であったり費用が異なりますので、加入前に組合に問い合わせたり、組合のホームページ等で確認を行いましょう。
一人親方が安く労災保険に入るには?

事業にかかる経費を節約したいなどの理由で、安く労災保険に加入したい場合、以下のような手段があります。
- 給付基礎日額を安くする
- 組合費の安い団体を通じて加入する
具体的に何をすれば良いのか、詳しく解説しましょう。
①給付基礎日額を安くする
労災保険料は給付基礎日額に基づいて決まる仕組みです。そのため、給付日額を安くすれば、おのずと労災保険料も安くなります。
ただし、労災保険料を安くしたいからといって、あまりに給付基礎日額を安く設定してしまうのは考えものです。仕事が原因の病気やケガで仕事を休んだり、万が一のことがあったりした場合に、受け取れる補償も安くなってしまいます。自分や家族の状況を踏まえ、生活に支障が出ない範囲で設定しましょう。
②組合費の安い団体を通じて加入する
労災保険料とは違い、組合費は特別加入団体が自由に設定できます。組合費が安い団体を探して加入すれば節約につながるでしょう。組合費については、事前に加入団体のWebサイトやパンフレットで確認できます。
組合費の安さ以外にチェックすべき点は?

特別加入団体に加入する際は、組合費の安さ以外にもチェックすべき点が多くあります。これらのチェックを怠ると、トラブルのもとになるので気をつけましょう。
①政治団体に加入させられないか
特定の政治団体とのつながりのある特別加入団体には注意が必要です。このような団体を通じて労災保険に加入した場合、以下の活動を強要されるかもしれません。
- カンパ・募金
- 請願はがきの発送
- 街頭での署名活動
- 集会への出席
- 選挙活動・勧誘行為の強要
本来、これらの活動は自分の意思に基づいてされるべきものです。参加したくなければ、政治団体とのつながりは事前に確認しましょう。
②特定のゼネコン・ハウスメーカーとのつながりがないか
特定のゼネコン・ハウスメーカーとのつながりがある特別加入団体も注意が必要です。他のゼネコン・ハウスメーカーが携わる現場での事故に巻き込まれたとき、「その現場では労災保険は使えません」と断られるケースがあります。
このような行為は、本来は労災隠しとして、労働基準監督署に相談するのがしかるべき対応でしょう。加入時に労災申請条件の確認をしてから加入をするか、最初からつながりがない特別加入団体を選んだほうが無難です。
③住所や主な現場のエリアは対応地域内か
自分が住んでいる地域や仕事をする地域に対応している団体か、事前に確認しましょう。
特別加入団体の中には「一都三県の現場で起きた事故のみ対応」「近畿圏に住所がある一人親方のみ加入可能」など、対応地域に制限を設けているところもあります。
④社会保険労務士による対応があるか
社会保険労務士が常駐し、迅速で正確な労災給付手続きをとってくれる特別加入団体を選びましょう。
労災事故が起きた場合は、すぐに給付がほしいものです。書類作成を迅速に行い、手続きを進めていくことが重要になります。手続きをスピーディーに進めるためには、専門家が常駐している団体を選ぶと安心です。
⑤請負賠償責任保険、上乗せ労災の扱いがあるか
請負賠償責任保険、上乗せ労災の扱いがあるかも確認しましょう。自分の不注意で人にケガをさせたり、現場の機械を壊したりした場合、賠償責任が生じます。請負賠償責任保険に入っておけば、金銭的な補償を受けることが可能です。
また、労災保険による補償だけでは、生活に余裕がなくなってしまうことも考えられます。そうした不安がある場合は、上乗せ労災を併用しましょう。
⑥サポートがしっかりしているか
特別加入団体を選ぶ際は、サポートの充実度にも着目しましょう。たとえば、以下のような点をチェックしてください。
- 電話で問い合わせた際、質問にてきぱきと答えてくれるか
- メールで問い合わせた際、返信にあまりに時間がかからないか
- チャットボット、LINEなど質問がしやすくなるツールを導入しているか
- 公式WebサイトのFAQ(よくある質問)がわかりやすいか
⑦手続きをする際に事務手数料がかからないか
手続きをする際に、事務手数料がかかる特別加入団体もあります。特に以下の手続きについて、手数料の有無や金額を確認しましょう。
- 更新手続き時の更新手数料
- 労災事故の際の手続き費用
- 退会時の脱退手続き費用
- 組合員証再発行手数料
なお、以下の記事でも詳しく解説しています。
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「安さ」だけでなく必要な補償が受けられるかを考えよう
労災保険に加入する際には「自分や家族にとって必要な補償が受けられるか」をしっかり考えるようにしましょう。
費用を節約したいという気持ちはわかりますが、節約に走りすぎた結果「事故に遭っても補償が受けられない」「特別加入団体とのやり取りで疲弊した」というトラブルに巻き込まれてはどうしようもありません。
組合費に関わらず、加入者への丁寧なサポートに定評がある特別加入団体を選びましょう。
監修者からメッセージ

一人親方労災保険組合顧問覺正 寛治かくしょう かんじ
一人親方に安心安全を提供したい
静岡大学法経学科を修業後、1977年4月に労働省(現厚生労働省)入省。2002年に同省大臣官房地方課課長補佐(人事担当)、2004年に同省労働金庫業務室長を歴任し、2007年に同省鹿児島労働局長。退官後、公益財団法人国際人材育成機構の常務理事、中央労働金庫の審議役を経て、2017年4月に現職。
厚生労働省では「地下鉄サリン事件」「阪神淡路大震災」「単身赴任者の通勤災害」の労災認定や「過労死認定基準」の策定などを担当し、労災保険制度に明るい。一人親方労災保険組合顧問としては、一人親方が安心安全に働けるよう、これまで培った労災関係業務や安全衛生業務の経験を生かして労災保険特別加入制度の普及や災害防止活動に取り組んでいる。

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