一人親方に税理士は必要?費用の相場や依頼するべきケースを解説
更新日 / 2024.6.26
一般社団法人一人親方労災保険組合 代表理事
社会保険労務士法人やさか事務所 代表社員 / 常磐労働福祉協会 会長兼代表理事
一人親方として活動していると、自分自身で確定申告や納税をおこなわなければなりません。専門的な知識や時間のかかる作業が必要な場合もあるため、一人親方を含む個人事業主の中には、税理士に依頼をしているケースがあります。
税理士に依頼をすると、当然ながら費用が発生します。税理士に仕事を依頼するにしても、費用がいくらかかるのか、自分の場合税理士に依頼をすると得なのか、気になる方は多いことでしょう。
そこで今回は、一人親方が税理士に仕事を依頼すべきケースや、税理士を雇うときに必要な費用の相場を解説します。ぜひ、最後までご覧ください。
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一人親方が税理士に依頼したほうがいいケース
一人親方が税理士に依頼するといいケースは、大きく下記の3つです。
- 1,000万円超の年間売上がある
- 知識がない
- 作業時間が取れない
順に詳しく解説していきますので、自身の状況を踏まえて、参考にしてみてください。
1,000万円超の年間売上がある
年間の売上高が1,000万円を超えているのであれば、税理士に依頼することをおすすめします。1,000万円以上の売上高がある場合は、所得税に加え消費税も支払う必要が生じるからです。
消費税の確定申告をおこなうには、専門の知識が必要です。税理士以外の人が安易に作業を進めると、申告の漏れや誤りに繋がる恐れがあります。そのうえ、高収入であるほど、税務調査される可能性も高い傾向にあります。
税金にまつわるトラブルを回避するためにも、年間の売上高が1,000万円以上ある場合は税理士に依頼するといいでしょう。
知識がない
確定申告をおこなうには、日々の取引を仕訳し、帳簿を作成する必要があります。そのため、簿記や会計の知識が必要不可欠です。
もし、簿記や会計に関する知識をもっていないのであれば、税理士に依頼することをおすすめします。
作業時間が取れない
普段の仕事が忙しく、お金の管理をする時間が取れない場合は、税理士に依頼するといいでしょう。日々の業務をこなしながら、毎月の収入や経費などお金の管理をするのは容易ではありません。
本業が忙しいのであれば、余計な不安をなくすためにも、税理士に依頼するのが賢明です。
社会保険労務士法人やさか事務所 代表社員 / 常磐労働福祉協会 会長兼代表理事
一人親方の税理士費用の相場
一人親方の税理士費用は、年収によって異なります。たとえば、年収が1,000万円以内の一人親方であれば、月額の顧問費用は1〜3万円ほどです。
また、帳簿付け(=記帳代行)や確定申告(=申告代行)についても税理士に依頼するのであれば、顧問費用に加え費用が追加で必要になります。
年収が1,000万円以内であれば、記帳代行は月額6,000円、申告代行は年間で76,000円が一つの目安です。
すべてを税理士に依頼するとなると、年間で30万円前後のコストが発生します。自分の年収と毎月の出費額を考慮したうえで、税理士に依頼するかどうかを検討しましょう。
もちろん、具体的な金額は税理士事務所によって変わるため、依頼する際は入念なリサーチをおこなってください。
一般社団法人一人親方労災保険組合 代表理事
税理士費用の相場は、上述したように年収1,000万円程度であれば月額顧問料は1万から3万円程度になり、別途税務申告書作成料として10万円ほどが最低でもかかります。
税理士報酬を抑える方法としては、毎月の月次顧問は依頼せずに自身で会計入力・決算書までの作成をすることです。これができれば、税理士へ依頼する内容は税務申告書の作成のみとなります。その場合、税理士費用として月次顧問料はかからず税務申告書作成費のみとなり、税理士報酬を抑えることができるのです。
ただし、この方法は上述したように知識がある人が前提だということは押さえておきましょう。知識のない人がこの方法をした場合には誤った税務申告をしてしまった場合逆に費用が余計にかかる可能性があるため注意が必要です。収入と出費の現実ラインは依頼する人ごとにさまざまですが、収入が1,000万円以上であるならば税理士へ依頼する人が多くいますよ。
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一人親方が税理士に依頼するメリット
一人親方が税理士に依頼するメリットは、大きく下記の4つです。
①帳簿を正しく付けられる
②余計な税金を払う必要がなくなる
③時間を節約できる
④資金繰りなど広く相談ができる
順に解説していくので、税理士を雇う際の目安として参考にしてみてください。
①帳簿を正しく付けられる
税理士と顧問契約を結ぶことで、正しく帳簿付けができます。指導を受けながら、帳簿をつくれるからです。
とくに、青色申告の際に求められる損益計算書や貸借対照表は、帳簿をもとに作られます。間違った帳簿付けをしてしまうと、後のトラブルにも繋がりかねません。
帳簿付けの誤りを回避し、正しい帳簿を付けるためには、税理士の力を借りることが重要です。
②余計な税金を払う必要がなくなる
税理士を雇うことで、余計な税金を支払う必要がなくなる点も大きなメリットです。
たとえば、確定申告時に、誤って少ない税額を申告してしまった場合は、「修正申告」をおこなう必要があります。修正申告をするときは、不足分の税金に加え、延滞税も納めなくてはなりません。
不要な税金の納付を防ぐうえにおいても、税理士への依頼は大きな意味をもつのです。
③時間を節約できる
時間が節約できる点も、税理士に依頼する大きなメリットです。とくに、一人親方のような個人事業主にとって、日常の経理業務は報酬が発生するものではありません。
そのため、お金にまつわる業務をすべて税理士に依頼することで、売上の向上に専念できる点も大きなメリットだといえるでしょう。
④資金繰りなど広く相談ができる
資金繰りなどお金に関するあらゆることを相談できる点も、税理士を雇う大きなメリットです。
あたりまえですが、個人事業主である以上、自身で資金のやり取りをおこなう必要があります。税金に関わることに限らず、広く経営に関する相談ができる専門家が身近にいると、心強いものです。
社会保険労務士法人やさか事務所 代表社員 / 常磐労働福祉協会 会長兼代表理事
税理士に依頼するメリットとしては、これ以外にも税務調査に対応してくれるということも挙げられます。
税務署は管轄地域内の個人事業主や法人の決算書、税務申告書を常にチェックしています。税務申告書に税理士の署名があると、「税理士がいるから脱税をしている心配はない」という印象を税務署に与えることができます。顧問税理士がいるのといないのとでは税務署へ与える印象は大きく異なります。
しかし、顧問税理士がいる場合でも税務調査がおこなわれる可能性は十分にあります。税務調査が入る場合でも、顧問税理士がいれば税務調査の事前準備をしてくれたり、税務調査の際に調査官とのやり取りでも納税者の味方をしてくれるため、とても心強い存在になります。税理士を依頼することで税務調査にも対応可能というメリットを踏まえて再度税理士の利用を検討してみてください。
一人親方が税理士に依頼するデメリット
一人親方が税理士に依頼すると、多くのメリットがありますが、デメリットも当然あります。具体的には、以下の3つです。
①費用が発生する
②ノウハウが身につかない
③資料共有の手間がかかる
順に解説していくので、デメリットについてもしっかりと把握しておきましょう。
①費用が発生する
いわずもがなですが、税理士に依頼するにはコストがかかります。先述したように、税理士への依頼は決して安くはありません。
税理士との契約を結ぶのであれば、必要になる費用をあらかじめ把握しておくことが重要です。
②ノウハウが身につかない
簿記や会計に関する知識が身につかない点も、大きなデメリットの一つだといえます。個人事業主が損益計算書や貸借対照表を理解できないのは問題です。
会計に関する資料を読めないと、改善すべき点を見落としてしまい、業績の悪化にも繋がりかねません。
③資料共有の手間がかかる
税理士に記帳をやってもらうのであれば、必要な資料を共有する必要があります。これは意外と手間がかかる作業です。
資料を共有する際、毎月送る手間を削減するために、1年分をまとめての送付はおすすめできません。税理士の方が、節税対策をする時間を取ることができず、税金を多く支払うことになる恐れがあるからです。
一人親方も費用を抑えて税理士に依頼しよう
一人親方が税理士に仕事を依頼する際は、毎月の収入や本業の忙しさ、簿記・会計に関する知識の有無を考慮したうえで検討することが重要です。
税理士を雇うことで、正しい帳簿付けや時間の節約ができるなど、多くの恩恵を得られます。お金にまつわる不安が解消されることで、より一層、本業に集中して取り組むことができるでしょう。
ただし、税理士を雇うにはコストがかかるなどのデメリットがあるのも事実です。よく考えたうえで、税理士に仕事を依頼するか判断しましょう。
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「費用をとにかく安くすませたい」
「明日の現場で証明書が必要で、間に合わせたい」
「信頼と実績のある労災保険を無難に選びたい」
そんな労災保険にまつわる悩みを解決するのが、全国9万人が加入する「一人親方労災保険組合」です。
労災保険選びに迷ったら、まずは一人親方労災保険組合をチェック。手続きはたったの3分でできるので、これを機会に加入を検討してみてください。
一人親方労災保険組合
月額組合費は最安500円
急な案件にも対応可能!
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一人親方労災保険
監修者からメッセージ
一人親方労災保険組合顧問覺正 寛治かくしょう かんじ
一人親方に安心安全を提供したい
静岡大学法経学科を修業後、1977年4月に労働省(現厚生労働省)入省。2002年に同省大臣官房地方課課長補佐(人事担当)、2004年に同省労働金庫業務室長を歴任し、2007年に同省鹿児島労働局長。退官後、公益財団法人国際人材育成機構の常務理事、中央労働金庫の審議役を経て、2017年4月に現職。
厚生労働省では「地下鉄サリン事件」「阪神淡路大震災」「単身赴任者の通勤災害」の労災認定や「過労死認定基準」の策定などを担当し、労災保険制度に明るい。一人親方労災保険組合顧問としては、一人親方が安心安全に働けるよう、これまで培った労災関係業務や安全衛生業務の経験を生かして労災保険特別加入制度の普及や災害防止活動に取り組んでいる。
一人親方労災保険組合の労災保険特別加入手続き対象地域
北海道 | 北海道、青森 |
---|---|
東北 | 宮城、岩手、秋田、山形、福島 |
関東 | 東京、神奈川、千葉、埼玉、群馬、茨城、栃木、静岡、山梨 |
中部 | 長野、新潟、富山、岐阜、愛知 |
北陸 | 石川、福井 |
関西 | 大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、三重、鳥取、岡山 |
中国 | 広島、山口、島根 |
四国 | 愛媛、徳島、香川、高知 |
九州 | 福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島 |
沖縄 | 沖縄 |
2年前の売上高が1,000万円以上ある場合について、この場合は消費税の納税義務者となります。所得税申告書のほかに消費税申告書の提出も必要になるため、税理士へ依頼した方が手続きの負担が減ります。
また、令和5年10月1日より導入されるインボイス制度により、売上高1,000万円未満の場合であってもインボイスを発行できる「適格請求書発行事業者」へ登録した事業者であれば、売上高1,000万円未満であっても消費税申告書の提出が必要となるので、この場合も税理士へ依頼する方が良いでしょう。
基本的にお金に関する知識に自信がない人は、税理士へ依頼することをおすすめしています。税理士へ依頼する内容は一人一人異なりますが、よく見られるのが自分で売上高や経費を入力して、税務申告書の作成のみ税理士へ依頼しているケースです。
このケースは、しっかりと正しい入力ができれば問題ないですが、入力が誤っていたりすると税理士の方で修正が入ってしまうため、自分で作業したのに修正する手間賃を取られてしまうことがあります。そのため、知識に自信がない人はすべて税理士へ依頼したほうが逆にコストを抑えられるともいえます。