フリーランスドライバーとは?年収やメリット・デメリットを解説

一人親方労災保険

公開日 / 2024.3.26

ネット通販やフードデリバリーの普及により、フリーランスドライバーの需要は年々高まっています。

自分のペースで働けることや、会社員以上の高収入を目指せることから、フリーランスドライバーを始めたいという方も多いのではないでしょうか。

今回はフリーランスドライバーについて、仕事や平均年収などをご紹介します。稼ぎ方のポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

フリーランスドライバーとは?

フリーランスドライバーとは、特定の企業に所属せず、個人で仕事を受注して報酬を得る運送業者のことを言います

幅広い年齢層の方が参入でき、在宅勤務などで通販市場の需要も高まっていることから、近年では副業としても注目されている職業です。

たとえば、以下のような業務がフリーランスドライバーの仕事にあたります。

  • 配送マッチングサービスで案件を受注し配送する仕事
  • フードデリバリー配達員
  • 企業と業務委託契約を締結し受注した軽貨物などを配送する仕事
  • ルート配送 など

業務委託契約を結んで配達をおこなう「フードデリバリー配達員」も、広い意味ではフリーランスドライバーの一種です。

なお、フードデリバリー配達員については以下の記事で詳しく解説しています。

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フードデリバリー配達員になる方法は?事前に知るべきポイントを解説

フリーランスドライバーの平均年収は?

株式会社リクルートが2019年におこなった調査によると、運輸・通信関連職フリーランスの年収平均値は289.5万円となっています。

100~300万円未満が40.7%と最も多く、同年の日本人の平均年収(436万円)を大きく下回っているのが現実です

しかし、なかには年収700~1,000万円を稼ぐフリーランスドライバーもいるため、稼げるかどうかは本人の働き方や努力次第と言えるでしょう。

出典:リクルートワークス研究所 全国就業実態パネル調査「データで見る日本のフリーランス

出典:国税庁「令和元年分 民間給与実態統計調査

フリーランスドライバーのメリット3つ

フリーランスドライバーには、自由業ならではのさまざまなメリット・デメリットがあります。

まずはメリットから見ていきましょう。

  1. 手軽に始められる
  2. 高収入を目指せる
  3. 自分のペースで仕事ができる

それぞれ、詳しく解説していきます。

1.手軽に始められる

フリーランスドライバーは開業のハードルが低く、手軽に始められるのが大きなメリットです。

フリーランスドライバーを始めるのに必要なものや手続きは、仕事によって異なりますが、早ければ3日から1週間程度で業務を開始できるでしょう

たとえば、通販サイトで購入した商品などを個人宅に配送する「軽貨物ドライバー」を始める場合は、以下のような手続きが必要になります。

  • 普通自動車免許を取得する
  • 税務署に個人事業主の開業届を提出する
  • 「貨物軽自動車運送事業経営届出書」を所轄の運輸支局に提出する
  • 事業用自動車等連絡書を提出し「黒ナンバー」を取得する
  • 軽貨物車両(軽バン)を購入またはリース契約する
  • 事業所から2km以内に駐車場を確保する(自宅でOK)

ただし、開業しただけで仕事の依頼が飛び込んでくる訳ではありません。

マッチングサービスへの登録など、フリーランスドライバーは自分から積極的に仕事を獲得していく必要があります。

2.高収入を目指せる

フリーランスドライバーは働き方次第で高収入を目指せます。

フリーランスは労働者ではないため、労働基準法による制限がなく、その気になれば1日10時間以上働いたり、週7日働いたりなども可能です

中には年収700~1,000万円を稼ぐフリーランスドライバーもおり、ドライバーを増やしたり、法人化したりするなど、事業を展開していくことでより高収入を目指せるでしょう。

3.自分のペースで仕事ができる

休日や労働時間を自分の裁量で決められることこそ、人によっては一番のメリットなのではないでしょうか。

仕事の内容にもよりますが、フリーランスドライバーは出勤時間や休憩時間などのスケジュールを自分で決められるため、自分にあったペースで働けます

たとえば、ランチタイムの後に仮眠する時間を取ったり、配達の合間に買い物などの用事を済ませたりなども可能です。

フリーランスドライバーのデメリット4つ

フリーランスドライバーのデメリットは以下の4つです。

  1. 自己負担の金額が増える
  2. 案件を自分で探す必要がある
  3. 確定申告が必要になる
  4. 労災や補償がない

それぞれ、詳しくみていきましょう。

1.自己負担の金額が増える

フリーランスドライバーは会社員と比べて、社会保険や年金などの自己負担が増える傾向にあります

会社員であれば、健康保険や厚生年金保険などの保険料は会社が半分負担してくれますが、フリーランスドライバーはどの保険も原則的に全額自己負担です。

また、車両の代金や維持コスト、交通費などの必要経費も自身で支払う必要があるため、同じ年収で比較した場合、会社員よりも手取りは少なくなります。

2.案件を自分で探す必要がある

フリーランスドライバーとして働くには、自分から案件を探しにいくことが必要です

仕事内容により若干異なりますが、案件の獲得には以下のような方法があります。

  • 配送マッチングアプリやサービスに登録する
  • 軽貨物運送会社に個人ドライバーとして登録する
  • 企業へ直接営業をかけ契約する
  • 知人に紹介してもらう

仕事の合間などに新しい取引先を探し、高収入へとつなげていきましょう。

3.確定申告が必要になる

フリーランスドライバーは個人事業主として自身で確定申告し、所得税などの税金を納める必要があります。副業の場合でも、年間所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。

税理士に委託しない場合は、各種控除や経費、節税対策などについての知識が必要になります。

確定申告をしないと無申告加算税や延滞税などのペナルティが課せられる可能性もあるため、日頃から準備しておくようにしましょう。

4.労災や補償がない

フリーランスは労働者ではないため、労災(労働災害)保険には原則加入できないとされています。

労災に加入していないと、業務中の事故によるケガの治療費や、補償などが受けられません。

しかし、建設業や運送業など一部の業種では「一人親方労災保険特別加入制度」によって、特別に任意加入が認められています

特別加入制度は、フードデリバリー配達員なども対象です。ぜひ加入しておきましょう。

フリーランスドライバーの稼ぎ方! 3つのポイントを解説

フリーランスドライバーで稼ぐポイント

フリーランスドライバーで高収入を得るには、3つのポイントが大切です。

それぞれ、詳しくみていきましょう。

1.都心部で働く

フリーランスドライバーで高収入を得るには、都心部で働くことが第一です。

仕事の案件が多いことはもちろん、住宅が密集している都心部のほうが、短時間で多くの荷物を配達できます

逆に都心部から離れてしまうと、家と家の距離が遠く配送に時間がかかることや、配送に対応していない地域が多いことなどから、稼ぐのは難しくなるでしょう。

2.複数のプラットフォームを掛け持ちする

せっかくフリーランスドライバーとして独立するなら、1つの企業やサービスに依存せず、複数のプラットフォームを掛け持ちするようにしましょう。

仕事の受注先を一企業やサービスに依存しすぎると、報酬体系の変更などにより収入が激減するリスクがあります

その他にも、需要の広がりや副業ブームなどによって配達員が急増し、案件の奪い合いになるリスクもあるのです。

3.経費を削減する

収入を増やすことも大切ですが、経費を削減し、支出を減らすことも忘れてはいけません

フリーランスドライバーの仕事で発生する経費としては、以下のようなものがあります。

  • ガソリン代
  • 高速道路料金
  • オイル交換代など車維持費
  • 駐車場代

節約できるものはないか定期的に見直して、経費削減を目指しましょう。

フリーランスドライバーが加入できる「一人親方労災保険」とは

一人親方労災保険とは、建設業や運送業など特定の業種において、請負や委託で仕事をしている事業主が任意加入できる労災保険です

労災保険は原則的にフリーランスの方は加入できませんが、フリーランスのなかでも運送業や建設業など労働災害に遭う危険性の高い業種の方は、特別に任意加入が認められています。

自動車だけでなく、二輪車や自転車などで、フードデリバリーや日用品の配達をおこなっている方も対象となっていますので、ぜひチェックしておきましょう。

なお一人親方労災保険については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

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運送業の一人親方が特別加入できる労災保険とは?補償内容も紹介!

フリーランスドライバーで稼げるかどうかは自分次第

フリーランスドライバーの平均年収はサラリーマンの平均よりも低く、稼げるかどうかは本人の能力や、周囲の環境によるものが大きいと言えます

稼ぐにはできるだけ案件の多い都心部で働くことや、複数のプラットフォームを掛け持ちし、自分から積極的に仕事を獲得していく意識が大切です。

監修者からメッセージ

一人親方労災保険組合顧問 覺正 寛治

一人親方労災保険組合顧問覺正 寛治かくしょう かんじ

一人親方に安心安全を提供したい

静岡大学法経学科を修業後、1977年4月に労働省(現厚生労働省)入省。2002年に同省大臣官房地方課課長補佐(人事担当)、2004年に同省労働金庫業務室長を歴任し、2007年に同省鹿児島労働局長。退官後、公益財団法人国際人材育成機構の常務理事、中央労働金庫の審議役を経て、2017年4月に現職。

厚生労働省では「地下鉄サリン事件」「阪神淡路大震災」「単身赴任者の通勤災害」の労災認定や「過労死認定基準」の策定などを担当し、労災保険制度に明るい。一人親方労災保険組合顧問としては、一人親方が安心安全に働けるよう、これまで培った労災関係業務や安全衛生業務の経験を生かして労災保険特別加入制度の普及や災害防止活動に取り組んでいる。

一人親方労災保険組合の労災保険特別加入手続き対象地域

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