個人事業主の労災保険料はいくら? 各種費用や保険給付金額も解説

一人親方労災保険

公開日 / 2024.7.03

個人事業主でも、労災事故への備えは必要です。

通常、労災保険は勤務先の会社を通じて加入するものですが、個人事業主は特別加入という手続きを取ることができます。いざというときのために、個人事業主も労災保険に加入しておきましょう。

しかし、労災保険料は個人事業主にとって安くない費用です。労災事故に遭った際にどれくらいの補償を受けられるか、労災保険料がいくらかかるか気になる方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、個人事業主の労災保険料はいくらか、各種費用や実際に労災事故に遭った際の給付金額について解説します

個人事業主と労働者の労災保険の違い

労災保険料を知るためには、個人事業主と労働者の労災保険の違いについて知っておく必要があります。一般的な労災保険は、労災事故から労働者を守るための保険制度です。

個人事業主は労働者ではないため、通常の場合は労災保険に加入できません。しかし、業務内容や労災事故の発生状況などから、建設業をはじめとする一部事業においては、特別加入制度によって個人事業主の労災保険への加入が認められています

特別加入制度によって労災保険に加入する場合、かならず特別加入団体や労働保険事務組合を通して加入しなければいけません。そのため、労働者の労災保険とは保険料の計算方法やかかる費用が違います

また、個人事業主として、一定の規模以下の従業員を雇用をしている場合は第一種特別加入労災(中小事業主用)へ、労働者を雇っておらず国が定める業種の事業をおこなう場合は第二種特別加入労災(一人親方等)へ加入することが出来ます。

  • 第一種特別加入労災(中小事業主用):一定の規模以下の従業員を雇用をしている場合
  • 第二種特別加入労災(一人親方等):労働者を雇っておらず国が定める業種の事業をおこなう場合

この記事では、労働者を雇っておらず国が定める業種の事業を行う場合の第二種特別加入労災(一人親方等)について解説をしていきます。

なお、費用面以外も含めた労災保険の選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。

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労災保険で発生する費用(一人親方等の場合)

労災保険で発生する費用(一人親方の場合)

個人事業主が労災保険に特別加入した場合、通常の労災保険料に加えて組合費や入会費、各種手続き費用が発生します。どのタイミングでどれくらいの費用が発生するのか、それぞれの費用について詳しく見ていきましょう。

①保険料

費用の基本となるのは、労災保険そのものの保険料です。特別加入時労災保険料は、特別加入団体に関わらず事業の種類や、加入する際に設定する給付基礎日額によって決定されます。詳しい費用については、後述する労災保険の計算方法でご確認ください。

特別加入団体によって、クレジットカードや銀行振り込みなど支払い方法が違います。また、年度払いや月払いなど加入時に支払う金額も違うため、加入する際は事前に対応できる支払い方法があるか、まとめて支払える金額か確認しましょう。

②組合費

特別加入の場合、特別加入団体を通じて労災保険に加入します。そのため、年度ごとに特別加入団体の組合費が発生します。特別加入団体によってはさまざまなサポートなどをおこなっているため、組合費は特別加入団体によって異なります。

そのため、組合費だけではなく総合的に判断することが重要です

③加入時の費用

特別加入団体に加入する際は、年度ごとに支払う組合費とは別に入会費が発生します。入会費が発生するのは入会時のみですが、脱退して再度入会するときにも発生する場合もあるため注意しましょう。

④各種手続きの費用

特別加入団体によっては、各種手続きの際に費用が発生する場合があります。費用が発生するのは、主に下記の手続きです。

  • 更新手続き
  • 給付申請手続き
  • 脱退手続き
  • 組合証再発行手続き

特別加入団体によっては、手続きに費用が発生しない場合もあるため事前に確認しましょう。

個人事業主の労災保険料の計算方法

特別加入制度の労災保険料は、給付基礎日額や事業ごとに定められた保険料率によって決定されます。給付基礎日額は16段階に分かれているため、実際の所得に合わせて選択しましょう。

労災保険料は、「給付基礎日額×365(日)×保険料率=年間保険料」によって計算できます。保険料率は事業によって違い、一部事業における令和6年度の特別加入労災保険料率は下記の通りです。

令和6年度の特別加入労災保険料率

また、下記は建設業における給付基礎日額ごとの年間保険料です。

建設業の給付基礎日額ごとの年間保険料

なお、加入団体指定の給付基礎日額(例:18,000円)以上に設定する場合は、所得を証明する書類を提出する必要があるため注意しましょう。

労災保険の給付金額

労災保険の給付金額は、補償の種類や給付基礎日額を元に算定されます。補償の種類ごとの給付金額や特別支援金は、下記のとおりです。

労災保険の給付金額

個人事業主(一人親方等)の労災保険は一人ひとり違う! いくらになるか事前に確認しよう

今回、個人事業主(一人親方等)が労災保険に加入した場合にかかる費用や、労災保険料の計算の仕方、労災保険の給付金額など、労災保険に関わるお金について解説しました。

個人事業主(一人親方等)の労災保険料は、加入時に設定した給付基礎日額や事業の種類をはじめ、特別加入団体の組合費などによって決まります

個人事業主(一人親方等)ごとに労災保険加入費用は違いますが、いくらになるかは計算できるため、加入する際は事前に確認しましょう。

また、給付基礎日額は自由に決められますが、所得に応じて適切な金額を設定しないと、補償が少なかったり労災保険料が高くなったりするため注意が必要です

加入前にきちんと検討して、自分に合った加入の仕方をしましょう。

監修者からメッセージ

一人親方労災保険組合顧問 覺正 寛治

一人親方労災保険組合顧問覺正 寛治かくしょう かんじ

一人親方に安心安全を提供したい

静岡大学法経学科を修業後、1977年4月に労働省(現厚生労働省)入省。2002年に同省大臣官房地方課課長補佐(人事担当)、2004年に同省労働金庫業務室長を歴任し、2007年に同省鹿児島労働局長。退官後、公益財団法人国際人材育成機構の常務理事、中央労働金庫の審議役を経て、2017年4月に現職。

厚生労働省では「地下鉄サリン事件」「阪神淡路大震災」「単身赴任者の通勤災害」の労災認定や「過労死認定基準」の策定などを担当し、労災保険制度に明るい。一人親方労災保険組合顧問としては、一人親方が安心安全に働けるよう、これまで培った労災関係業務や安全衛生業務の経験を生かして労災保険特別加入制度の普及や災害防止活動に取り組んでいる。

一人親方労災保険組合の労災保険特別加入手続き対象地域

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