常用契約とは? 一人親方が締結すべき請負契約との違いとその理由も徹底解説!

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公開日 / 2022.12.26

一人親方として活動しているものの、「常用契約」の意味がいまいちよく分からずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

個人事業主である以上、契約方法について正しい知識を持つことが重要です。契約方法を正しく理解していないと、トラブルの発展にもつながりかねません

そこで今回は、常用契約の概要について詳しく解説していきます。併せて、常用契約とよく一緒に聞かれる「請負契約」についても説明していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

常用契約に注意! 一人親方の契約方法は請負契約のみ

一人親方が契約方法として正しいものは請負契約のみです。しかし、常用契約も一人親方の契約方法の一つだと考えている人もいるのではないでしょうか。

ここでは、請負契約と常用契約についてそれぞれの特徴を解説していきます。これを機に請負契約と常用契約に関する理解を深めましょう。

①請負契約

請負契約は、一人親方が仕事を完成させることを約束し、その結果に対して報酬を受け取る契約方式です。材料費や人件費などがすべて含まれる契約であるため、常用契約より報酬額は上がりやすい傾向にあります。

ただし、請負契約の場合は仕事にミスや不具合などがあると、その責任をすべて負わなくてはなりません。内容によっては、多額の賠償金が命じられることも十分に考えられるため、その点は理解しておく必要があります。

②常用契約

常用契約は、決められた時間内で仕事をおこない、それに対して報酬を得る契約方式です。常用契約の場合、人件費のみを受け取ることになるため、請負契約より報酬額は少なくなる傾向にあります。

しかしその分、仕事のミスや不具合があった際の負担は小さくなるので、その点は一つの大きなメリットだと言えるでしょう。

常用契約では、1人の作業員が1日に働いた労働力を「1人工(にんく)」と言うこともあるので、覚えておきましょう。

尚、一人親方は労働者に近い働き方の常用契約を結んで働くことは出来ません。労働者は、雇用をしている会社が雇用保険を掛ける義務が生じます。労働者が一人親方として働く場合は偽装一人親方にあたり、雇用保険を掛けられていない場合は法令違反となります。なお、偽装一人親方の詳細については、下記の記事で解説をしています。

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建設会社が一人親方と請負契約ではなく常用契約を結ぼうとする2つの理由

本来、一人親方は個人事業主に該当するため、仕事に対しての裁量権は比較的大きいものです。正社員の働き方に近い常用契約で働いている一人親方もいるかもしれませんが、常用契約として働く場合は一人親方ではなく労働者となります。一人親方として働く為には請負契約の締結が必要です。

それにもかかわらず、建設会社が一人親方と常用契約を結ぼうとする理由は下記2つです。

①社会保険料を節約するため

②労働関係法令の適用を回避するため

一つずつ解説をしていきます。

①社会保険料を節約するため

1つ目の理由として、経費(社会保険料)を削減する狙いが挙げられます。元請企業が作業要員を、一人親方としてではなく、従業員として雇った場合、社会保険料を納めなくてはなりません

企業にとって社会保険は大きな負担となりますが、従業員を守るための義務です。とはいえ、従業員を一人雇うだけでも、会社にとっては多額のコストが発生します。従業員の数が増えるほど、負担すべき金額も増え、利益を圧迫しかねません。

そこで元請企業は、作業要員を自社の従業員としてではなく、一人親方として契約しようと考えるのです。個人事業主に該当する一人親方なら、保険に加入させる義務は生じないため、社会保険料の負担を回避できます。

こうした企業の経費を削減したいという思惑が、常用契約を結ぼうとする理由の一つだと言えるでしょう。しかし、常用契約のように労働者の働き方の場合は、本来雇用をする会社が雇用保険を掛けなくてはいけません。労働者が雇用保険未加入の場合は法令違反となります。

②労働関係法令の適用を回避するため

2つ目の理由として、労働関係法令の適用を回避したいという思惑が挙げられます。

労働関係法令が適用されなければ、企業側は余分な費用を削減できます。具体的には、残業代休日手当などといったものが該当するでしょう。自社の従業員であれば、これらのコストを会社が負担しなくてはなりません。

こういった点も、企業が一人親方と常用契約を結ぼうとする理由の一つだと言えます。

請負契約と常用(雇用)契約を判別する際のポイント

以下のチェックが多ければ実質的に請負契約

実際のところ、請負契約と常用契約は、どうやって見分けることができるのでしょうか。上記の判断ポイントに当てはまる箇所が多いほど、請負契約による働き方だと言えます。

上記のように、請負契約には自身の裁量権が多くあるのが特徴です。反対に常用契約の場合、労働者の裁量権はあまりありません。これを機に、自身の働き方について、今一度確認をしましょう。

元請とのトラブルを回避するには

業務をめぐるトラブルを回避するためには、書面にて契約を結ぶことが大切です。契約書があることにより、契約内容にそぐわない作業を命じられたとしても、断りやすくなります。

契約書を作成してもらう際は、作業の内容を具体的に記載してもらうのがポイントです。契約書の段階で、具体的な作業範囲などを明記しておくことで、余計なトラブルを防げます

また、偽装一人親方とみなされる危険性を避けるためにも、一人親方は常用契約ではなく請負契約の締結が必要です。

一人親方なら常用契約の意味を正しく理解しよう

今回は一人親方の常用契約をテーマに、その概要や請負契約との違いなどについて解説しました。

常用契約による働き方の場合、「偽装一人親方」とみなされるため、一人親方として働くためには、適切な請負契約書を締結するようにしましょう。

今後、新たな元請企業と取引をおこなう場合は、必ず書面による契約を締結することが重要です。契約書があることにより、業務をめぐるトラブルを防ぐことができ、一人親方として長く活動し続けることができるでしょう

監修者からメッセージ

一人親方労災保険組合顧問 覺正 寛治

一人親方労災保険組合顧問覺正 寛治かくしょう かんじ

一人親方に安心安全を提供したい

静岡大学法経学科を修業後、1977年4月に労働省(現厚生労働省)入省。2002年に同省大臣官房地方課課長補佐(人事担当)、2004年に同省労働金庫業務室長を歴任し、2007年に同省鹿児島労働局長。退官後、公益財団法人国際人材育成機構の常務理事、中央労働金庫の審議役を経て、2017年4月に現職。

厚生労働省では「地下鉄サリン事件」「阪神淡路大震災」「単身赴任者の通勤災害」の労災認定や「過労死認定基準」の策定などを担当し、労災保険制度に明るい。一人親方労災保険組合顧問としては、一人親方が安心安全に働けるよう、これまで培った労災関係業務や安全衛生業務の経験を生かして労災保険特別加入制度の普及や災害防止活動に取り組んでいる。

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