個人事業主である一人親方は、住宅ローンの審査に通らない・通りづらいという噂があります。実際に、聞いたことがある方もいるかもしれません。

はたして、本当に一人親方は住宅ローンの審査に通らないのでしょうか。本記事では、一人親方でも住宅ローンの審査に通るのか、審査に通るために押さえておきたい審査のポイントや事前の準備方法について解説します。

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一人親方でも住宅ローンの審査は通る？

結論から言えば、一人親方でも住宅ローンを組むことは可能です。しかし、会社員と比べて審査に通りにくいということも事実であるため、住宅ローンを組む際にはあらかじめ把握しておく必要があります。

住宅ローンの審査は多岐にわたりますが、本人に返済能力があるかどうかを総合的に判断します。会社員の場合、自身の収入が安定しているか、きちんと返済できる収入を今後も得られるか、その信用の一端を会社が担っています。

そのため、会社の規模などによっても審査が通りやすくなることもあるでしょう。しかし、個人事業主である一人親方は、自身の収入のみで返済能力を証明しなければいけません。

また、審査の方法は会社員と違うこともあり、それによって住宅ローンの審査が通りにくい可能性もあります。

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一人親方の住宅ローンの審査で見られるポイント 

一人親方でも、住宅ローンの審査には通ります。しかし、審査で見られるポイントを知らなければ、対策ができずに審査に通らない可能性があるでしょう。

ここでは、一人親方の住宅ローンの審査で見られるポイントについて、詳しく解説します。

①所得

会社員の場合、住宅ローンの審査対象となるのは、一般的に前年の年収です。しかし、一人親方の場合は直近3年の売上から経費を差し引いた「所得」で審査されます。

住宅ローンを提供する銀行などによって条件は異なりますが、基本的には3年間黒字であることが条件になっている場合が多いです。1年でも赤字があると、審査に通らない可能性もあります。

所得の審査をおこなう際は、下記のどちらかの条件で審査されることが多いです。

• 3年間の平均所得
• 直近3年間で一番低い所得
  ※平均所得が黒字でも業績に大きな波があれば、一番低い所得で審査される場合があります

この審査基準の違いにより、年収と売上の水準が同程度で同じ金額を借り入れようとした場合、会社員と比べて一人親方は審査に通りにくい傾向にあります。

その理由は、経費によって所得が下がるためです。節税のために経費をできるだけ多く計上している場合、住宅ローンの審査においてはマイナスの要因となる可能性があるでしょう。

②税金や社会保険の支払い状況

住宅ローンの審査において、滞納などの事実は返済能力を疑われる要因の1つです。税金や社会保険料を滞納している場合、住宅ローンの審査に通らない可能性が高いでしょう。

会社員の場合、給与から天引きされるため滞納することはほとんどありません。しかし、一人親方の場合は自分で納める必要があるため、資金繰りが苦しかったり、忘れていたりした場合に滞納してしまうことがあります。

住宅ローンの審査では、納税証明書の提出が求められることもあるため、そこで税金などの滞納がないかチェックされます。一般的に住宅ローンは数十年かけて返済するので、税金や社会保険料の支払い状況は、審査において重要なポイントです。

③信用情報

クレジットカードや車のローンなどの支払いにおいて、一定期間以上滞納している、もしくは過去にしていた場合、信用情報にその情報が記載されます。

税金や社会保険料と同じく、これらの支払いにおいて滞納した履歴がある場合、返済能力などに問題があるとして審査に通らない可能性が高いでしょう。

とくに注意したいのは、携帯代金で機種代を分割して支払っている場合です。携帯電話本体の分割払いはローンの一種のため、分割払いをしている人が携帯料金を滞納した場合、信用情報にその情報が記載されます。

携帯料金をローンや借り入れと認識していない場合、知らないうちに信用情報に記載されるため注意しましょう。

信用情報から滞納履歴などの情報が削除されるには、返済完了から5〜10年程度かかります。開示請求することで自分の信用情報を確認できるため、滞納履歴などがないか不安な方は、住宅ローンの審査前に確認することをおすすめします。

④年齢や健康状態

一般的に、年齢が上がるほど長期の住宅ローンの審査は厳しくなります。また、健康状態によっても住宅ローンの審査が厳しくなる可能性があります。

どちらも、将来の返済を見据えての審査となるため、高齢の場合や健康状態が良くない場合は審査が厳しくなることに注意しましょう。

一人親方が住宅ローンで借り入れできる上限額 

一人親方が住宅ローンで借り入れできる金額は、一般的に所得の5〜8倍程度と言われています。

一軒家かマンション、新築か中古など、購入する住宅の種類によって異なり、土地付きの注文住宅などを購入する場合は借り入れできる上限額が高くなる傾向にあります。

住宅ローンで借り入れできる上限額は「返済負担率」によって決まり、銀行などによって割合は異なりますが、一般的には30〜35%に設定されていることがほとんどです。

返済負担率は、「返済負担率 = 年間住宅ローン返済額 ÷ 年間所得 × 100」で求められます。

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一人親方が住宅ローンの審査に通るための準備

一人親方が住宅ローンの審査に通るには、事前の準備が大切です。準備をおこなうことで、一人親方が住宅ローンの審査に通る確率が上がるでしょう。

ここでは、とくに大切な3つの準備について解説します。

①頭金を用意しておく

頭金を用意して借入金額を低く抑えることで、住宅ローンの審査に通りやすくなります。借入金額を低く抑えると返済額が少なくなるため、自分の所得に対してゆとりのある返済計画を立てられるでしょう。

また、計画的に資金を貯められることをアピールでき、審査の際にお金の管理ができることを印象付けられます。

②必要以上に節税しない

一人親方の住宅ローンは、売上ではなく所得を基準に審査されるものです。経費を増やすなど必要以上に節税すると、所得が低くなってしまうため審査が厳しくなる可能性があります。

住宅ローンで借り入れたい金額をもとに、どれくらい所得があれば審査に通るかを考えながら、必要以上の節税を控えて所得を調整しましょう。

なお、一人親方の節税については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事

一人親方の税金対策を解説！節税ポイントや経費・税金の種類とは？

③カードローンの返済を済ませておく

カードローンなどを契約して借り入れをしている場合、住宅ローンの審査に影響する可能性があります。返済負担率の計算は、カードローンなどの借入金額も合算して計算されるものです。

そのため、借り入れがある場合は返済負担率が高くなり、住宅ローンの審査に通らない可能性があります。

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自宅を事務所としても利用する場合の注意点

一人親方の中には、自宅の一部を事務所として利用している方がいます。住宅ローンで自宅を建てようと考えている方の中にも、その一部を事務所として利用しようと考えている方もいるでしょう。

住宅ローンはあくまでも住居を購入するためのものであり、事業目的の建物に対する借り入れはできません。しかし、自宅兼事務所の場合は、居住部の広さが床面積の50%以上である場合に限り住宅ローンを利用できます。

自宅を事務所としても利用しようと考えている方、床面積の比率に注意しておきましょう。

一人親方が利用できる住宅ローン控除について

一人親方は、条件を満たす必要がありますが確定申告で住宅ローン控除を受けられます。居住部の広さによって控除の割合が変わり、それぞれの条件は下記の通りです。

居住部の割合が50%未満で住宅ローンを組めていない場合、住宅ローン控除は利用できないため注意しましょう。

住宅ローン控除を受ける条件とは

基本条件として、床面積50㎡以上かつ、その2分の1以上が居住部でなければいけません。床面積50㎡の判断は、マンション等の共用スペース部分は含まれません。 登記簿上の専有部分の床面積での判断となります。

その他に年間所得によっても制限があります。

• 床面積50㎡以上の住宅の場合：合計所得額2,000万円以下の所得制限
• 床面積40㎡以上50㎡未満の住宅の場合：合計所得額1,000万円以下の所得制限
  ※令和5年12月31日以前に建築基準法第6条第１項の規定による建築確認を受けた居住用家屋・認定住宅に限る。

その他に細かい条件などがあるため、住宅ローン控除を申請する前にかならず確認するようにしましょう。

一人親方でも住宅ローンの審査は通る！ ポイントを押さえておこう

一人親方でも、住宅ローンの審査に通ることは可能です。しかし、会社員と比べると審査に通りにくいことも事実であるため、審査のポイントを押さえておきましょう。

住宅ローンの審査を受ける前に、頭金を準備するなどの準備も欠かせません。また、一人親方の場合は、自宅を事務所として利用する方も多いでしょう。

居住部が50%未満になると住宅ローンを利用できないため、自宅を事務所として利用しようと考えている方は注意しましょう。

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